第25章 第41層~第50層 その2 "Love"
トーマを追って次の階へ私とケンタは駆け上がる
その場――三階は、それまでと明らかに異なっていた
廊下の幅が広く、扉の数が少ない
豪華なエリア、という事は――
「この階、かな」
「多分な」
という事はあの男もこの階にいる
出来れば関わりたくないというのは変わりない
しかし動ける人がいない故、私達が動かなければならない
その事実もまた、私の気分を落としていた
「とりあえず…何処探す?」
「それもそうだよな……しらみ潰し、にもいかねぇし…」
探すという事は部屋に入るという事
部屋の中の様相が変わっていないなら、踏み込む事への気まずさが出てくる
二重に重なる嫌な事柄に溜め息が漏れたと同時に、軽い地響きのような振動が走り、またも何かが壊れるような激しい音が響いた
「……探す手間が省けた」
「全くだな、こりゃ」
恐らくは扉が壊れた音
そんな真似をするのは一人しかいない
今しがた響いた音を頼りに廊下を駆け、角を曲がる
そこには先程の階であったようなドアの破片が飛び散っていた
尤も、今度は部屋に入る訳だから大半は部屋の中に吹き飛んだようだが
「派手にやったな――って、うぉぉ!!」
ドアがあった空間に近づいたケンタが急に飛び退く
直後、巨大なものが床を押し潰すように落ちてきた
明らかに人より大きな姿――ボスだ
起き上がるような動作をしたボスはハートマークを象った姿であった
しかし、直後にまた地面に叩き付けられるように落ちる
仰向けと言って良い状態のボスを飛び乗るように踏みつけた姿――トーマであった