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SAOGs

第25章 第41層~第50層 その2 "Love"


「何!?」

「行ってみるか」

警戒していた間からは想像出来ない激しい音
また誰かが外に出たという事だろうか
何が起きたのかという不安とまだまともな人がいたという期待が同時に膨れ上がる

それらを抱きながら、角を二つ曲がる
そして見えた景色は――

「何じゃこりゃ…」

――吹き飛ばされたかのように外れてひしゃげた扉
その上にあられもない姿で倒れる女性
おかしな状況とは言え、こうなっていると逆に哀れに感じてくる
しかしここまでやる奴がいるのだろうか

そう感じていた矢先――

「…何だお前等、いたのか」

――絶対に会いたくない人物が現れた

トンファー男――トーマ
なるほどこの男ならば、こうまでしていておかしくないと納得出来る
同時に反射のように嫌悪感が沸き上がり身構える
だがこれまでの経験に反して、トーマは私達を素通りした

「オ、オイ! 一人で何処行くんだよ?」

「うるせぇな、殺すぞ」

ケンタの問いに返されたのは、いつもと違う―明らかな苛立ち

「今はお前等と絡んでる気分じゃねぇ……余計な事してくれた糞を潰してやる」

そう言って駆け出したトーマ
何に苛立っているのか私達には分からぬまま、彼は私達が来た方とは逆にある階段を登っていった

「……どうするよ?」

苦い顔のケンタに問われ、私は溜め息を漏らす
出来れば放っておきたい
出来れば関わりたくない
だが――

「何するか分かんない奴を好きにさせるなんて危ないでしょ?」

「だよなぁ…」

――放置すれば更に危険
それを知っているからこそ、私達は彼を追った
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