第25章 第41層~第50層 その2 "Love"
ドアを抜けた先――そこは廊下だった
ピンクを中心に塗られた壁、そして幾つものドア
恐らくこのドア一つ一つの向こうでは、先程私が受けていたような事態になっているのだろう
気が重い――まさにそう感じた
適当に突入して気まずい雰囲気になるのも御免だ
何も知らぬ他人でさえそうなる―知り合いならば尚更だ
となると、戦力は期待できない
(私だけ…か…)
これは覚悟を決める必要がある
しかし、嫌な類いだ――そう感じ溜め息を吐いたと同時に、後ろからけたたましい音が響いた
何かと思って振り替える
そこには必死にドアを押さえつける人物がいた
「こっち、くんな!! 趣味じゃねぇんだよ!!」
聞き慣れた声の人物――ケンタであった
服を中途半端に着た状態でドアを押さえる
ノブが激しく回り、向こうの人物がかなりの勢いなのだろうという事が容易に想像出来る
勢いは更に増し、隙間が少し出来ると同時に私は跳躍した
「どいて」
一応警告した上で、ブーストをかけた足をドアに向けて思い切り振る
「――あ? って、うぉっ!!」
ギリギリの所でケンタは私の足を回避
蹴りが命中した開きかけのドアは勢い良く閉じられ、それきり静かになった
「ってリリィかよ、危ねぇじゃねぇか」
「ゴメン、でもまぁ結果オーライでしょ?」
そうだけどよ―と言いながら乱れた服を着直すケンタ
どうやら彼も正常なようだ
これで戦力が私一人という事は有り得なくなった