第25章 第41層~第50層 その2 "Love"
「がっ――!」
反発したベクトルをそのままに仰け反るエリー
その隙にベッドから離れ、エリーの方へ向き直る
服を探して着る余裕は無い
しかし目の前にはとりあえずエリーだけ、故に隠す必要は無い―素手のまま、私は構えた
ステータスや才の部分も考えればリスキーではあるが、"今の"エリーに組伏せられるつもりは毛頭無い
この、異常な場を切り抜けるだけだ
「なん、で…」
額を押さえながらこちらを向くエリー
今だ消えぬ彼女の驚愕は、疑問に変わっていた
「なんで……なんで…私は、リリィが――」
ゆっくりと力無く紡がれる言葉に、私は苛立ちを感じた
歯軋りと同時に脚力にブーストをかける
あっさりとエリーの背面を取り、左腕を捻り上げる
本来ならばこんな事は有り得ない
細かく理由は分からないが、恐らくボスが関係しているのだろう
だが、それを差し引いても私は"今の"エリーに言わなければならない
「"今の"エリー、私は嫌い」
言いたい事はそれだけ
それだけ言って、首に手刀を落とす
「――――!!」
一瞬見開いたエリーの瞳
だが、容赦無く落とされた手刀により直後に閉じられた
そのままベッドにうつ伏せにエリーは倒れた
多分、暫く起きないだろう
今はそれで良い
エリーなら、やるべき事を見誤らない
今はボス戦で、生きて現実に帰る為に戦っている
だから、今は外に出ないと
改めてストレージを確認する
割りとあっさり服を見つけ、使用を選択――下着から何から全てを着る
「ふう……」
一息吐いてドアを開ける
何かがおかしいこの状況でどうにかするしない
その為に、この戦いに向かうのだ