第25章 第41層~第50層 その2 "Love"
エリーの潤んだ瞳がすぐ目の前にある
私の人生初の口づけは、エリーによって貪るように、啄むように続いた
粘膜同士の接触
僅かに漏れる息と声
鼻腔をくすぐる甘ったるい香り
掴まれた手、そして重なる身体から伝え合う体温
それら全てが混ざり合い、私の抵抗する力を徐々に奪っていく
一頻り口づけが続き、漸く離れた時私は私に異常を感じた
熱い―
紛れもなく、身体が火照っている
荒くなった呼吸が本来"白い"筈の私を僅かながらでも赤くさせているのが分かる
最大の異常は、こんな事をしている暇はないと頭は理解しているのに、身体が"欲しい"と言わんばかりに反応している事だ
「はぁっ……はぁっ……エリー…やめて、こんなの…」
やっと絞り出した声も掠れそうな、消えそうな声でしかなく、エリーに届いているかも分からない
エリーは妖しく微笑むだけで、何も言わない
指を絡めるように手を握り直す
「エリー……離して…」
ある意味必死な呼び掛け
しかしエリーはその表情を崩さぬまま、再び顔を私に近づけ――
「もっとしたい」
――ただそれだけ言って、再び私と唇を重ねた