第25章 第41層~第50層 その2 "Love"
何処かのビジョンだ
――――目の前に誰かがいる
何時かのビジョンだ
――――本当に目の前、距離はほぼ零だ
誰かのビジョンだ
――――余りに近い故、まるでその誰かと溶けているようだ
これは何だろうか
それも分からぬまま、私の意識はまた深みに落ちていった
それから浮き上がる意識
ゆっくりと開いた瞼、その先に映る景色は知らない天井であった
鮮やかな装飾が成された天井
(私…寝てた…?)
しかし瞬間的に理解した―違う、そうじゃないと
勢い良く起き上がり周りを見回す
部屋だ――それもさっきと違う
今いる場所は先程よりも小さい、まるで普通の寝室と言っても良い
今の場所はベッド―布団の中だ
記憶を辿る―その最後は……あの煙だ
(そうだ、皆は?)
今はボス戦、ここで寝ている場合じゃない
そう思いベッドから出た瞬間、私はある事実に気付いた
服を着ていない―
正確にはパンツ―ショーツだけの状態
思わず腕で胸を隠す――どうしてこうなった
脱いだ記憶はない、ならば何故?
疑問が次々と浮かぶ中、布団が蠢いた
まさにモゾモゾという言葉が当てはまるだろう
何かが来る、そう身構えた直後―
「………ん」
―顔を出したのはエリーだった
ぼうっとしたような表情のまま、ベッドの上で横になっていた
こんな言い方は変だろうが、知り合いの女子でまだ良かったと胸を撫で下ろしていた
(まずは、服着ないと―)
こんな格好でいつまでもいる訳にはいかない
手を軽く振ってメニューを、ストレージを呼び出す
(この中にあれば話は簡単だけど…)
そう思いながら、服の類いを探していると――
「リリィ」
後ろからエリーの声が聞こえた