第25章 第41層~第50層 その2 "Love"
開かれた扉から射し込む光の中を進む
私達を含めた約50名のプレイヤー達が進んだ先に見えた景色は、奇妙なものであった
その空間は開かれていない――所謂、部屋と呼ぶべき代物であった
だとしても、ボス戦には狭い
この人数が満足に戦うには、この部屋を破壊しなくてはならないだろう
そして狭さに拍車をかけるかのように部屋の中央には大きな物体があった―ベッドである
大人が三、四人入っても楽々スペースがあるであろう巨大な面積
天蓋も相まって、邪魔に感じるくらいだ
だが何故、こんな所にベッドがあるのだろう―怪しい
部屋も薄暗く、ピンクの壁が怪しさを増している
(この雰囲気……もしかして…)
少し、察しがついた
同時に短く溜め息を吐く
まさか変な意味ではなかろうかと改めて考えるが、一度そう見えると後はそうにしか見えなかった
これは、アレだ
年齢的に私には早いやつだ
言葉で言うなら、18禁だとか淫らだとかそういう感じだ
仮にそうでなかったとしても、何故それっぽく作り上げたのだろう
疑問と同時に不快感が現れる
世の中そういう"ネタ"のようなものがあるのは確かだ
しかし、それを露骨に表す必要はない筈である
(気にしない事にしよう…)
とにかくボスを倒せば良い
そう気持ちを切り替えようとした矢先――異常が起きた
中央にあるベッド
その床との隙間から煙のようなものが噴射されたのである
「何…これ…」
小さく漏れた呟き
しかしそれが間違いだった
喋るという事は空気を口に出入りさせる事
一瞬で部屋中に充満した煙を吸ってしまった
(え……)
一瞬で身体から力が抜ける
周りでも倒れる音が聞こえる
同時に、私の意識は強制終了されたように落ちていった