第25章 第41層~第50層 その2 "Love"
それから数日間、私達はまたフィールドに出向いていた
部長の意向もあって積極的に攻略に勤しんでいた
しかしその雰囲気はそれまでと違っていた
当然と言えば当然だ
私達全体、特に部長に大きな影を落とした"セレナさんの死"というものが、変えてしまったのだ
"生き残る"という意味を、在り方を、これまでよりも遥かに重くしてしまった
その後、四十五層のボス部屋が発見された
部長はすぐさま参加を表明した
だが私は、何か焦ったような雰囲気を同時に感じていた
しかし、私は何も言えなかった
鬼気迫るとまではいかないが、部長の纏う雰囲気に気圧されたのだろう
私だけではない、私達全員がその理由を理解しているが故に、言葉をかける事は出来ず、ただ引っ張られるしか出来なかった
四十五層ボス
九の倍数という事もあり、恐らくタロットをモチーフにしているのだろうという声が上がっていた
前回―といっても聖槍十三騎士団が倒したものだが―それは「法王」のアルカナがモチーフであったらしい
故に次は「恋愛」のアルカナがモチーフだろうと言われている
再び訪れたボス戦
前回、四十四層の記憶がまざまざと蘇る中、私達は進む
扉に描かれたヒントの絵――ハートマークの形になっている木の両側に立つ男女
丁度男女が別れるように扉が開いていく
「生き延びてやる……何が来たとしてもだ…」
射し込む光の中、部長の呟きが確かに私の耳に聞こえた
それに私は、また言葉をかけられなかった