第25章 第41層~第50層 その2 "Love"
四十四層クリア―
それは私達に大きな影を落とした
セレナさん――本名、瀬川麗奈
私達は彼女を亡くした
ボス戦が始まると同時に姿が消え、見付けた時には既に危険な状態で、ボスが倒されると同時に砕け散った
直後に私達を含めたプレイヤーの前に現れたウインドウ――
『裏ルール"ブルーフレンド"、失敗。通常クリア』
――無機質に表示されたそれは、大多数のプレイヤーにとってはよく分からないものだったであろう
しかし私達にとっては、"助けられた筈"という思いを、十二分に思い起こさせた
何故彼女だったのだろう
同時にそんな疑問も浮かぶ
解答の無い問いである事は分かりきっていたが、それでも疑問に思わざるを得なかった
例え答えを得たところで、セレナさんは戻らないのに、答えを求めるしかなかった
大多数のプレイヤーは次なる舞台である四十五層に到達した事を喜んでいた
確かに、全体から見ればその反応は間違っていない
無論、私達の空気はそんなものとはかけ離れていた
シンジ先輩他、戦いの方に向かった面子も驚きと悲しみを隠せなかった
目の前で砕け散ったのを見た部長は、泣いていた
初めて目にした部長の泣き姿
胸が痛んだ――だが私は、何も出来なかった
何故かは分からない――ただ、触れてしまえば壊れてしまう
そんな気がした
そのまま無力感に苛まれる日が少しだけ過ぎ去った