第25章 第41層~第50層 その2 "Love"
数分もしない内に、光を灯した場所のあるマンションの入口に私と部長は辿り着いた
「……これは」
現実ならば何処にでもありそうな五階建てのマンション
その三階か四階から光が見える
だが、踏み込むよりも先に部長が屈んで何かを拾っていた
「あの…それは?」
脇から覗くように顔を出した私に、部長はそれを見せた
片手剣である
星の意匠が入ったそれはセレナさんが使っていたものだ
だがここにあるという事は――
「近い…かもしれませんね」
「あぁ、あの光ってる所だ」
そうして私達はマンションに乗り込んだ
エレベーターなどある筈もない、狭い階段を一段飛ばしで登っていく
四階に辿り着いた私達は光源でもある部屋へ走った
ここにいる筈、いなかったなら本当にどうすれば良いか分からなくなるだろう
そんな不安と希望を持ちながら、部長は勢いよく扉を開けた
そこから先の景色に言葉を失った
部屋の中は明らかに普通ではない青、青、青――外に漏れる光とはまるで違う空間のように見えた
しかし、それも色だけ
形は何処にでもありそうな一室であった
そして、その中央に――
「瀬川!!」
――いた
セレナさんがベッドに背を預けるようにして、床に座っている
「瀬川、大じょ――」
セレナさんに駆け寄った部長の言葉は途中で途切れた
続いた私も目を見開いてしまった
脚は千切れ、左腕が潰れ、喉に穴が開いている
そして傷と呼ぶに相応しい部分からは青い液体が垂れている
一言で言って、酷い
「どうしてこんな……瀬川、回復させるから少し待ってろ」
そうして手を軽く振ってストレージから回復アイテムを探す部長
だが、まさに満身創痍のセレナさんは残った右手を使って部長の動作を止めた
そしてゆっくりと部長の背の先にあるもの―テレビを指さした