第25章 第41層~第50層 その2 "Love"
部長と共に誰もいない街を走る
外だけではない、入る事が出来た建物の内部もくまなく探したがセレナさんは見つからない
「クソッ…一体何処なんだよ、瀬川」
部長もやや焦り気味のようである
一人にしなかったのは正解かもしれないが、だからと言って手掛かりが見付かる訳ではなかった
遠くで戦闘と思われる地響き、そして喧騒が聞こえる
戦いはまだ五分だろうか、続いている
このままセレナさんが見付からなかったら……どうなのだろう
私はふと考えた
生きていればそれで良い、また七人に戻るだけ――
(違う…違う違う違う!)
そんな単純な事じゃない
人が一人消える事でどれ程精神にダメージがあるか
それを私達は知っている、知っているのに…
その上それが私達も既に知り合っていて、部長にとっては現実からの知り合いで――
(そんな事、分かってるのに……)
何故こんな時に、こんな考えが浮かぶのだろう
嫌になる―探しながらにそんな自己嫌悪を感じる
手掛かりも相変わらず見付からない
どうすれば良いか、分からなくなりつつあった瞬間―私達の横から急に光が射した
部長も私も、思わず手で光を遮った
人工的な、冷たさを感じる光
少し慣れて、手を外す
目の前にはテレビが置いてあった
今は懐かしきブラウン管のテレビ――何十台も置いてあるその全てが点灯していた
(え……)
ただ点灯していただけではない
そこに映っていたものに私達は言葉を失った
『アダチクン』――――
――――『ドコニイマスカ』
全てカタカナであったが、内容は理解出来る
理解出来る故に、訳の分からなさというものに言葉を失っていた
「…俺…まさか、瀬川……?」
辛うじて部長が口を開いた瞬間、遠くでボスの棘が千切れた