第25章 第41層~第50層 その2 "Love"
「…皆、一つ提案がある」
漂う悲壮の中、部長が口を開いた
「ここで会ったのも何かの縁だ。皆さえ良ければ、瀬川も一緒に行動するってどうかな?」
一つの提案
私達からすれば全く問題ではない―というよりこう言うのではないかと予測が出来た程だ
だから拒む理由はない
「お前のダチだ。お前の決定が一番良いだろうさ」
そう言うシンジ先輩に私達は全面的に賛同したのだった
「そういう訳だ瀬川。これから宜しくな」
「あ…その…宜しく、お願いします」
一瞬戸惑ったセレナ―さん、としておいた方が良いだろうか
ともかく彼女は私達の仲間となったのである
それから私達は八人となって、再び攻略に繰り出したのである
とは言っても、そのペースはあくまでゆっくり
何せ、急に人数が増えたのだ
互いに息を合わせる必要があったのだ
しかしその問題も、戦闘回数をこなしている内に徐々に解消していった
特に部長とは昔の友人という事もあり、誰よりも息を合わせやすいようだった
そうして彼女―セレナさんは徐々に徐々に、私達に馴染んでいった
ただ…彼女が来てから、何となく胸の奥が痛みだしたのもまた事実であった
尤もそれが何なのか、何故そうなのかは分からないが
ある夜―
寝ていた筈の私は、不意に起きてしまった
目を閉じるも眠気が現れない
どうしたものかと悩んだが、結局ベッドから抜け出す事にした
暗く、月明かりも僅かしか差し込んでいない―そんな廊下を静かに歩く
別にこれといって目的はなかった
気が済んだらまた寝に戻れば良いくらいに考えていたが…一階から光が僅かに漏れているのに気付いた
誰かいるのだろうか
静かに、音を立てぬように階段を下りる
光はどうやらダイニングスペースから差し込んでいるようだった
何気無く扉に手を掛けようとした瞬間、私の手―いや、私そのものが止まった
「何してるの、安達君?」
部屋の中からセレナさんの声が聞こえたのである