第25章 第41層~第50層 その2 "Love"
それから私達はセガワと部長に呼ばれていた人物―瀬川麗奈、アバター名セレナと共に拠点に戻ってきていた
不謹慎ではあるが、こういう時に拠点がしっかりあって良かった気がする
彼女―セレナは部長の中学時代の友人で同じ部活に所属していたらしい
高校に入ってからは互いに全く連絡を取らなかったが、何の因果かこのゲームに来てしまったという事らしい
私達と違って彼女は戦い始めるまで少し時間が経っていた
私達が大体十層台後半にいる時に数名と徒党を組み、攻略開始―いつの間にか小規模のギルドと化していた
順調に進み漸く最新の層に追い付く程となったが、その矢先である―彼女を残して全滅した
死の恐怖に怯えながら逃げた先に、偶然私達がいたという訳である
「…辛かったな、瀬川」
彼女の経緯を聞いて、始めに出たのはそんな部長の言葉だった
そしてそれで、途切れてしまった
彼女を知らない私達がとやかくは言えないし、何よりそんな人達の言葉は彼女には通じないだろう
今彼女には私達の想像を凌駕する悲壮がのしかかっている
目の前で身近になった人が次々と死んでいくという恐怖を彼女は体験してしまった
思い出す―第一層のボス戦
あの戦いでもカミナという犠牲が出てしまった
本来関係のなかった私達ですら大きな衝撃を受けたし、その後のシモンは自暴自棄になっていた
それと同じ現象が彼女に降りかかっているのだ
その重みは、計り知れない