第25章 第41層~第50層 その2 "Love"
「おおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
高さ?周波?
知った事ではない
ただただ、打ち消す為だけに私は吼え続ける
耳に不協和音が激しく響き、地にヒビを入れ、木々を割っていく
このままでは喉が枯れるか―そう感じ始めた瞬間、不協和音が止んだ
敵の喉に値する部分が、まるで出来の悪い粘土細工のように欠けて、崩れている
今がチャンス―
だが私の身体は予想以上に消耗していたのか、力なく崩れてしまう
同時に、部長が動いた
「うおぉぉぉぉ!!」
跳躍し、一気に敵の懐へ潜り込む
そのまま部長は槍を敵の欠けた場所―喉へ突き刺した
だがまだ足りない
「エリー!!」
槍を刺したまま、部長は右手を後ろに差し出した
そこに巻き付くチャクラム―部長は槍から手を離し、空を滑る
そのまま身体を回すエリーに合わせて、部長も回り――――飛んだ
発射と言うべき勢いを携えて、部長は再度敵へ飛び―
「トドメぇぇぇ!!」
―槍を蹴り、貫通させた
着地する部長に合わせて、敵が四散
どうやら状況は落ち着いたようだ
「よし…大丈夫だな」
そうして改めて部長が警戒を解く
そのまま「それじゃあ―」と振り向いた時―部長にぶつかる影
セガワと部長に呼ばれていた人物が部長に抱きついていた
「う…ぁ…安達、君…安達君…安達君…うぁぁ…」
泣きながらすがり付く姿
ただそれだけで、彼女がそれ相応のものを背負っていたと想像は出来た