第4章 第1層~第10層 その3 "再起"
30秒も経っていないだろうか、トロッコが再び私達の目の前に現れた
という事は…
思わずメニューを開いているシンジ先輩に注目してしまう
本人は大丈夫と言っていたが、実際どうだか…
「……まぁ、アイツはとりあえず大丈夫だ」
直後、何がスリルだ…とボヤくシンジ先輩を見つつ静かに胸を撫で下ろす
こんな所で死んだら…という思いがある為正直報せが来るまで恐ろしかった
「で、次は誰が行くんだ?」
シンジ先輩の続けた言葉に今度は固まった
正確には考えたくはなかった
当然、私達全員が黙りこくる
一応安全とは分かったが、出来れば嫌な思いはしたくない
「あぁあぁ分かった分かった。俺が行く、それで良いだろ?」
沈黙に込められた感情を感じたのかシンジ先輩が志願する
「トロッコがここに戻ったら、誰か次の奴が乗って来い。良いな?」
そう言ってシンジ先輩を乗せたトロッコが進んでいった
その後、またそんなに長くかからずトロッコが出現
残された私達は、自分が最後になるのを避けようと逆に積極的になり、じゃんけんで順番を決める事となった