第4章 第1層~第10層 その3 "再起"
なるほど、迷宮区に行くのにフィールドが一つだけとは限らない訳か
そんな感想を持ちながら鉱山の様なエリアを進む
中身は一部キラキラと光っている
全くどんな鉱物だろうか
幾らか進んでいる内にまた数体のムゥを捌く暫く歩いた先、妙な所に辿り着いた
目の前にトロッコがある
随分と古そうなトロッコだ
「キョウヤ、こりゃ何だ?」
「トロッコだ」
そんな事は見りゃ分かる、というシンジ先輩のツッコミに賛同しつつ改めてトロッコを見る
小さいトロッコだ、全員入るかは…正直分からない
下にはレールがあり、何処かに繋がっているようだ
(まさか…)
嫌な予感がする
ここに至るまでの道はほぼ一本道
つまり…
「次のエリアに行くにはコレに乗る必要がある。それも一人ずつね」
やはりか
溜め息と共に部長の説明を理解する
そして「一人ずつ」という知らなくても良い事まで部長は教えてくれた
「まぁ、そんなに危なくない筈だから物は試しってくらいの気持ちで行けば良いよ」
「そうは言っても…」
たじろぐのも当然な気がする
部長以外の全員は未経験者だ
その上製品化されるにあたってアップデートでもされていたら、ちょっとした絶叫マシンでは済まされない
「じゃあ、最初に俺が行く。そんで、向こうに着いたらシンジにメッセージでも送っておく」
そう言いつつ部長はトロッコに乗り、躊躇い無くレバーを引いた
古そうな見た目の通り、嫌な甲高い音を響かせて部長を乗せたトロッコは私達の視界から消えた