第24章 第41層~第50層 その1 "Survive"
「がっ…」
首辺りからまともに地面に落ち、トンファーが初めてトーマの手から離れる
すかさず部長は槍を奴の顔に突き付けた
「さて、一発入れる事は出来たし止めにしないか?互いに争っても利はないだろうし」
部長がそこまで言った所で、トーマは漸く自分の状況を理解したらしい
僅かに目を開いたが、直後に顔を歪ませた
「ククククク……ハハ…アハハハハハハハハハ、ハハハハハハハハ!!!」
それは途端に爆発した
槍を突き付けられているにも関わらず、大きな笑いを上げている
漸く合流したシンジ先輩すら、異常さを感じた目をしていた
だが、笑いは暫く続いた
「ハハハハハ!!良いな…良いな!ソイツ程じゃないが、十分に面白い。いいぜ行けよ。確かに今食っちまうんじゃ勿体ねぇよな」
余りにあっさりした退き
逆に何かあるんじゃないかと警戒してしまう程だ
だが部長が槍を離しても何もしない
「………行こう」
警戒したままの部長が漸く口を開いた
そのまま私達がアリジゴクの穴に繋がる洞窟を出ても、何もなかった
「さて、色々あったけどこれでクエストクリアだ。手伝ってくれて、本当にありがとう」
街に戻り、部長が改めて礼を口にする
その言に、少しだけ…ほんの少しだけこそばゆくなる私がいた
「で、肝心の金はどうなんだ?」
そう言ってシンジ先輩は部長のストレージを横から眺めた
勘定をしているのだろう、僅かな間―
「シンジ―」
そうして紡がれた言葉は―
「買おう。給料云ヶ月分って奴だ」
「一昔前の結婚指輪かよ」
―ギャグであった
しかし、それは私達が目標額を達成したという意味であった