第24章 第41層~第50層 その1 "Survive"
私の舌打ちを聞いて、何かを思い出したかのようにトンファー男が立ち上がった
「そういや、ちっとは考えて見た訳だ。お前が何で会う度イライラしてんのかをな」
何を今更、と思ったが奴は構わず続けた
「そんで分かった訳だ。そういや俺は、お前に名乗ってねぇなってよ」
「はぁ?」
何を言ってるんだコイツは―と心底感じた
お門違いも良い所であったが、奴は構わず続けた
「俺はお前の名を知ってる。リリィ、お前といた奴がそう言ってたのを聞いたからな。だがお前は俺の名を知らねぇ。だから対等じゃねぇって事だろ?」
駄目だ
まるでこれを当たりであるかのように言っている
だから違うと認識させてやらねば
「名推理ありがとう。でもね――」
その後の言葉は紡げなかった
トンファー男が私の口を塞ぐように顔を掴んで来たからだ
「トーマだ、覚えとけ」
ギリギリと痛覚を与える手
その先にギラつく獣染みた瞳
嫌いだ――
改めてそう感じた直後、放られるように離された
「いずれテメェと最高に面白い食い合いをして、そんで俺の餌になれ」
誰がなるもんか
そう思いながら、私は知らずに歯軋りしていた
「まぁ今はその時じゃねぇがな」
気楽そうに振る舞う所作すら、私の神経を逆撫でして止まなかった