第24章 第41層~第50層 その1 "Survive"
何処かのビジョンだ
―――――手を伸ばす
何処かのビジョンだ
―――――でも届かない
誰かのビジョンだ
―――――だから欲した
誰かのビジョンだ
―――――理不尽をも打ち砕く力を
何時かのビジョンだ
―――――一度分解され、"彼"の内側に再構成される
何時かのビジョンだ
―――――"彼"が誰だったか、それだけが分からないまま
『否、そのような結末ではない』
私は暗闇から意識を浮上させた
目を覚まして初めに気付いた事は、暗いという事
次に割りと涼しく、土の地面であるという事
「よう、お目覚めだな」
そしてトンファー男が目の前にいるという事
「あぁテメェには何もしてねぇから、精々安心してろ」
起きた相手に対して言う事だろうか
そう思いながら、辺りを見回す
そこは洞窟だった
砂漠の下にこんな洞窟があったとは…
(とにかく脱出しないと―)
部長達と合流しないといけないし、何よりこの男といたくない
そう思い立ち上がる
「止めとけ止めとけ。お前、自分の命があとどれくらいか分かってんのか?」
そう言われて初めてHPを確認する
その量は非常に少ない―ストレージを開いて回復アイテムを使用する
「それと疲労は目に見えねぇ。落ちた分もあるしよ、今は休むのが得策って奴だぜ」
一々成される正論
それに軽く苛ついた私は舌打ちをしていた