第24章 第41層～第50層 その1 "Survive"

撃ち上がった蠍は横向きに倒れ､腹を晒す

｢ったく砂吹っ飛ばしすぎだ｣

後ろから砂煙を突き破るようにシンジ先輩が飛び出す
私の頭上を越えて着地―腹を切り裂こうと構えた時―

｢シンジ!｣

―部長の声が割って入る
それが警戒の合図とシンジ先輩は既に理解している
転がるようにその場から離れた瞬間､上から巨大な針が落ちてきた
倒れながらもしなやかに動く敵の尾
部長がそこ目掛け駆け出す

｢部位破壊は基本ってね!｣

体当たりするように槍を尾に突き刺した部長
更に一度引き抜き､内側からも切り裂くように振るった

｢腹よぉ!!｣

部長の攻撃に怯んだ瞬間を見逃さずシンジ先輩が敵の腹を切り裂く
戦慄いた敵は直後に跳躍､距離を取ろうとする
だが――

(逃がさない―)

私が追うように跳躍
ブーストをかけたが故､一瞬で懐にまで入り込んだ

｢づぅぅぅおぉぉぉぉ!!｣

そのままブーストをかけ､剣を突き刺した
頭の上､敵の装甲を僅かに破り敵の身体を抉る
空中でありながら敵は更に戦慄き､身体を滅茶苦茶に振る
鋏が身体を掠める――離脱しなければ…
だが､抜けた先には更に危険な針が待っている
タイミングとスピードを考えなければ―そう感じた瞬間――

｢オルァ!!｣

敵の身体が逆の方向に飛んだ
その勢いで剣を引き抜き､地上に降り立つ
ああもう分かった､こういうタイミングで首を突っ込んでくる奴は一人しかいない

｢よう､久しぶりじゃねぇか。俺も交ぜてくれよ｣

金輪際関わりたくない男
あのトンファー男が現れたのだった