第23章 第31層~第40層 その5 "再会"
「そういやアンナは一人でプレイしてんのか?」
何気ないケンタの疑問にアンナは頭を振った
「元々はそうだったけど、一応今は所属があるわよ」
そっか、と反応したケンタは漸くアンナの服装に気付いた
黒い軍服のような服装
それが今の彼女の"所属"なのだろう
「何よ、残念がっちゃって」
「いや、アンナと居られりゃもうちょい楽しく出来たろうし、オレのやる気も当社比1.5倍くらいになるんだけどな」
「何言ってんのよ、アンタは」
言いながらアンナの見せた微かな微笑み
それを見る事となったケンタは、本人も気付かぬ内に高揚していた
「ま、どうせアンタは一人でいる事の方が不可能だもんね」
「まぁな。でもお陰で、今こうして生きてるし、アンナにも会えたしな」
「調子の良い奴ね」
そうは言うものの、ケンタはこれを事実と捉えていた
ケンタ本人としては、自分に大層な力は無いと捉えている
故に今生きている事実も自分の力量のみで引き寄せたとは考えていない
故にこの思考なのだ
「ま、それがオレの良いとこってな」
アンナの言う通り、調子の良いと見られる部分も彼からしてみれば、誰かのお陰でありその結果に感謝しているに過ぎないのだった