第20章 第31層~第40層 その2 "彼と彼女の一日"
「大丈夫だった?」
状況終了、完全勝利
そんな言葉が浮かぶ中、二人は漸く少年の方を向く
金の髪に、金の瞳
何事にも動じないであろう雰囲気を纏ってはいるが、そこはやはり少年
あの男達のような雰囲気のプレイヤーに絡まれては何も言えないだろう
だからこそ、ミヤコは出来る限り柔和な雰囲気をもって少年と向き合う
「さっきみたいなのが、これ以上いないとも限らない。君さえ良ければ今暮らしてる所まで送っても良いけど?」
あの手の輩は往々にして群れる
真の強者が常に孤高とはユウは考えてはいないが、また同じ事があったら少年にとって不利益
故の提案であったが―
「………」
―少年は何も言わず二人の間を通って勝手に歩き出した
本当に何の言葉も無しに、まるで無視するような歩みに二人は呆けてしまう
「……何あの子!?可愛くない!昔の誰かさんによく似てるわ」
「誰の事かは聞かないけど、少なくとも僕まだマシだったよ。それよりも、一応後を追った方が良い。また絡まれたりでもしたら面倒だ」
「はいはい、分かってます」
流石にあの対応だったからといって、ここであの少年を見捨てる訳にはいかない
どんなに拒絶されようと、せめて安全な屋内に入る所を見届けなくてはならない
とは言え、尾行のような真似をするつもりはない
素直に追い付いてついていくまでだ
幸い、少年の歩幅は少年のそれであった
故に二人は少年にすぐに追い付いた
そのまま二人は少年を挟むように歩く
当然、少年は二人に気付き左右に視線を一瞬だけ動かすが本当に一瞬―興味がないと見えなくもない
「君は僕らに対して色々思うかもしれないが、僕らは僕らで君が安全な場所に着くまで無理矢理ついていくからな」
少年からの反応はない
しかし、それならば構うものかと二人は少年と共に街を進んだ