第20章 第31層~第40層 その2 "彼と彼女の一日"
男達を蹴り飛ばし、二人は少年を庇うように男達の前に立ちはだかる
「こういう真似って、良くないよねぇ?」
「何があったか知らないけど、大人気ない真似は止めて欲しいね」
ここで漸く男達がゆらりと立ち上がる
近くになると彼等の図体の大きさが際立つが二人共心配などしていない
こういう派手な見た目をした人間に限って、その実は大した事がない
恐らく、この界隈だけで物を言わせている連中だろう
「ザッケンナコラー!」
ミヤコの頭よりも高い位置から放たれるリーゼントの方の拳
だがやはりというべきか、彼女はそれを軽く右にステップするだけで回避
そのまま彼女は右足を振り上げる―その先はリーゼントの足と足の間
「グワーー!!」
金的というやつである
あらゆる世界において"付いている"人物に極めて有効な攻撃
それを喰らえば下腹部を中心に、体内を握り潰されたかのような感触を得る為、少なくともその後数分は動けないというもの
だが彼女の攻撃はこれで終わらなかった
命中した足にブーストをかける
そのまま左足を軸に後ろに回転するように、跳躍―サマーソルトを決めた
という事は右足も自然と跳ね上がり、リーゼントのブツを更に潰した上で空中に跳ね上げた
「アバーー!!」
リーゼントの男はそのまま空へ昇り、星となって消えた
このまま落下しても、街の中なら大丈夫だろう
綺麗な流れで戦いを制し、勝ちを確信したミヤコ
その上空からパンチパーマの男が拳を構えていた
「スッゾコラー!」
南無三―明らかに回避不可能
しかし、拳が彼女に届く事はなかった
彼女と拳の間―そこにユウが割り込み、片手で拳を受け止めていた
逃がさぬよう、彼はしっかりと拳を掴み―空いた反対の手でパンチパーマの男に掌底を叩き込んだ
「アバーー!!」
パンチパーマの男は真っ直ぐに吹き飛び、壁にぶつかって気絶したのか動かなくなった