第20章 第31層~第40層 その2 "彼と彼女の一日"
そうして第一層の大体を見て回った二人は、次に第二層へと足を運んでいた
第二層―
ブリーガルという名の街を中心に据えたこの層もまた、二人の記憶よりも人気が少なくなっていた
しかしこの層に至ってはそれが雰囲気に合っている
そよ風、ゆっくりと回る風車―のどかな田園風景が広がっている
確かに、ここは大勢の人がいる光景よりかは草木の多い光景の方が似合っているだろう
だが、そこで二人は―
「ザッケンナコラー!」
―この風景に似合わぬ声を聞いてしまった
何かと思って音の方へ向かった二人には、全く雰囲気に似合わぬ光景を目にした
そこにいたのは複数人のプレイヤー
剣呑な雰囲気に満ちていた
「ザッケンナコラー!スッゾコラー!」
「ンダオラー!ドクサレッガー!」
男が二人
リーゼントにパンチパーマ、無駄に派手で悪趣味な服といういかにもな格好であった
そしてその二人に囲まれるように、奥にはもう一人のプレイヤーがいた
少年―間違いなく年端もいかぬ少年である
彼の黄金の瞳は揺らぎを見せていないが、脅すように迫る男達に何も言えないだけかもしれない
この状況―ミヤコが見逃す訳がなかった
「ねぇ、街の中で攻撃しても…何にもなんないよねぇ?」
「ま、痛いだけじゃないかな?」
そしてユウもそれを止めるつもりはなかった
男二人に向かって駆け出す彼女に続いて彼も駆け出す
「イヤーー!!」
彼女はリーゼントの男の首に横から飛び蹴りを決める
「「グワーー!!」」
男達は全く予想していなかったのか、素直に彼女の蹴りを喰らい、両人を巻き込むように倒れた