第3章 第1層~第10層 その2 "Game Start"
「ハッ…ただの獲物だったじゃん」
ただ一人、トンファー男は笑顔で語っていた
コイツ…神経が謎だ
「まぁいいか」
まるでそれまでの興味を失ったかのように、軽く言い歩き出した
ワンテンポ遅れて両手剣男も無言で歩き出す
「待てよお前ら!!」
私の後ろ、集団の中から声が響く
振り向くと一人、プレイヤーが飛び出ていた
しっかりとした筋肉質の体つきの男プレイヤー
彼がボスを倒した二人に食ってかかった
「人が死んだんだぞ!それなのにお前らは…お前らは!」
感情が前面に出る故の言葉足らずな発言
しかし、周囲と感覚を共有するには十分だ
「死んだ奴には、実力と運が無かった。それだけのクセして何喚いてんだか」
対して、トンファー男が答える
何となく分かってはいたがこの男、まともな精神をしているか怪しい
「俺がどうにか出来る事じゃない。精々供養するくらいだぞ」
両手剣男も冷たく言い放つ
「大体よぉ…死んだ奴の事考えてたら、自分がいつ死ぬか気になって楽しめねぇし、先越されて欲しいモン取れねぇだろ。必死に試作版やったのに、その結果が肩透かしじゃノれねぇっての」
全員がこの発言に反応した
いや、皆分かってはいただろう
しかし、日本人故の心理と本人が自ら「試作版をやった」と明かした事で、爆発的に怒気が広がった