第3章 第1層~第10層 その2 "Game Start"
いつの間にかボスのHPが赤い
通常攻撃だけで、ここまで簡単に削れるのか
「トドメだ」
一気に決着を付ける気か、両手剣男が武器スキルを発動させた
光を纏う刀身、跳躍しボスの頭辺りまで届く両手剣男
「はぁぁぁ!!」
一閃
袈裟斬りの要領で上から下へ―前から後ろへ両手剣が動く
ボスがよろめく
直撃のそれが、ボスを倒した…?
「いや!!」
後ろを向いている両手剣にトンファー男がいつの間にか乗っている
…いや、剣の上に乗るものじゃないだろうに
トンファーが光を纏っている
彼もまた武器スキルを使っている
「俺が、トドメだぁぁぁぁぁ!!」
剣の上から真っ直ぐ跳躍、そのままボスの顔面をトンファー男が殴った
先程よりもよろめいたボスは、そのまま断末魔のような叫びを上げ、砕け散った
…今度こそ、倒した?
―――Congratulations!
突如空間に文字が現れる
その出現と直後に起きた空間の変化―それまでの迷宮区の部屋に戻った事に対して多少驚いたが、これで…一層クリア
自分に経験値が溜まる事等忘れて、仰向けに倒れ込む
本来なら喜ぶべきだろうが、周りはそれ程五月蝿くない―むしろ静かだ
考えれば当然、一人の人が死んだのだ
その事実を前に喜び等表現出来る訳はない