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SAOGs

第18章 第21層~第30層 その5 "Hero"


本当に高齢とは思えない鮮やかな戦闘
いや、高齢故の経験の深さだろうか
とにかく、あのお爺さん達はボスを圧倒していた

土煙にまみれてボスはまだ見えない
だが、アレだけの攻撃が実質クリーンヒットしたのだ

「やったか!?」

そういうリアクションをするケンタに十分同意出来る
そう感じた瞬間だった

土煙を突き破るようにボスが現れた

「何っ!?」

体勢が直るまでのスピードはまさに驚愕
反応が遅れた彼等は無慈悲な突進を直に受けてしまった

壁に激突するまで吹き飛んだ彼等にボスは槍を放つ
先程とは一転、防戦一方となってしまった

「クソッ…やっぱ四人じゃ…」

「ん、解説お願い」

「古代戦士エルドラⅤ。本来はその名の通り五人なんだ。だけど…最後の戦士、ピンクのチヅルは…もう…」

いないのか―ケンタの表情が物語っていた
恐らく役者が亡くなったのだろう
しかしそれでは、彼等は永久に本来の力を出せないという事になる
だとするならば、彼等は―

「若いな、若造共」

―負けるかもしれない
そんな考えに真っ向から対するように、投げ掛けられた

「どんな苦境にあろうとも、内なる魂そして自らの発する願いの力をもって乗り越える」

「その合一こそが……勇者たる姿」

槍の雨に晒されながら、彼等は私達"若い"プレイヤーに語りかけていた
それがどういう意味なのか―やった事もない筈なのに…何かがざわついていた



時を同じくして、彼―トンファー使いの少年も妙な感覚を覚えていた
眼前にて繰り広げられる戦闘にて老人達が述べた事
勇気だとか正義だとかは知った事ではない
しかし、彼の胸中にも何かがざわついていた

(何だ…この感覚…)

知らない筈なのに知っているような感覚
ざわつきは一秒過ぎる毎に、確かに心に残る感触がしていた
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