第18章 第21層~第30層 その5 "Hero"
「行くぞ!!」
「「おう!!」」
疑問が次々と浮かび、困惑の只中にある私達に構わず三人―いや、四人は大きく跳躍した
尤も、その内の一人は相変わらず寝たままで担がれたままだが…
「フリーフォール・グラッチェ!!」
彼等はそのままボスに蹴りを入れた
尤も、重力任せに落ちた衝撃を与えただけと言って良いかもしれないが…
一応ダメージは入っているのかボスは抵抗を見せる
振りほどくように身体を揺らしたボスから彼等は何事もなく着地
だが、直後にボスは彼等を踏み潰そうと両の前足を上げる
対するお爺さん達
赤服―ネロさんは先も使っていた甲拳を、青服―ホセと呼ばれていた人は鷲を象った片手剣を、そして黄服―バリオと呼ばれていた人は牛を象った片手斧を取り出し、真っ向からボスとぶつかり合った
「フン…この程度」
「あぁ、ザウルス帝国の方が強敵だった」
「全くだな」
彼等の言う通り、彼等はボスと真っ向からぶつかり、そして抑えている
付け加えるなら、彼等には話すだけの余裕が見てとれる
「決めるぞ、ネロ!」
「あぁ行くぞ!ホセ!バリオ!」
彼等は勝負を決めるつもりか、両手持ちしていた武器を片手持ちに切り替えた
そして、空いた手で拳を作る
「弾丸・ボンバディーロ!!」
そのまま彼等は同時にボスを上向きに殴った
ブーストも何もかけていない筈の拳―しかし、それは間違いなく強烈な一撃で、ボスを一瞬浮かせた上で転倒させた
轟音が響き、瓦礫が土煙となって舞う中、私達は彼等の力に唖然としてしまった
「…んだよ、うるせぇな」
時を同じくして彼―トンファー使いの少年は目を覚ます
彼にとっては迷惑なものだったが、場所が場所故、誰も騒音の原因を責める者はいない
目の前では、まだボス戦
彼はそのボスを"つまらない"と感じた故に手を出すつもりはなかった
だが、それ以上に―
「何だあのじいさん共?」
―興味深い面子がいたのである