第18章 第21層~第30層 その5 "Hero"
「知ってるその人達、ってか今日見たばっかだし」
夕飯時、例のお爺さん達の話をしたら私とエリー以外にも彼等を見たらしく、ミヤとユウが反応を示していた
「あぁいたいた。珍しかったから妙に記憶に残ったな」
「ねぇ」
彼等も神出鬼没という訳ではないが、どうやら目立つ人なのだろう
そもそも、ゲームにいるというのだから不思議に思うのも当然だが
「私達が買い出し行ったら、お店で騒ぎが起きてて。何て言うか…迷惑な客?みたいな感じで追い出されててね」
「ザウルス帝国だとか、よく分からない事を言っていたよ」
「何だそのアニメの中にしかなさそうな名前は?」
どうやら方々に迷惑をかけているらしい
私とエリーは遠くからしか見ていなかったが、逆にそれで良かった気がする
「ザウルス…な~んか聞いた事あるような…」
唯一ケンタだけが記憶を探るように悩んでいたが、本人も思い出せなかったらしい
それ程経つ前に諦め、再び食事に戻った
「まぁ、あんまり変な真似をしてるようなら止めれば良いさ。この世界って環境がそうさせてるかもしれないしな。今はともかく、皆で生き残って先へ進まないと」
部長の言うこともまた然り
私達は生き残らなくてはならない
その途上で彼等が立ち塞がるなら、考えなくてはならないだろう
しかし、それは今ではない
今はまだ私達が関わる事ではないだろう
そんな風に私は考えながら、明日も生きられるようにと願っていた