第3章 第1層~第10層 その2 "Game Start"
目の前は暗い―目を閉じているからだ
死ん…だ…?
しかし、直前まであった嫌な動悸が続いている
つまり―
(生きてる…?)
目を開くと明るすぎるくらいに明るい
ボス戦の部屋だ
振り下ろされた筈の太刀は私の元へ来ていなかった
(何で…?)
疑問でならなかったが、すぐに解決した
目の前に二つの人影
二人共知らない男のプレイヤーだ
一人はバンダナを頭に着けた長身の男―しっかりした身体付きの見た目のその男は、ボスの太刀を両手剣、それも片手持ちで抑えていた
もう一人は隣の男よりかは小さいが、平均的な身長だろう
一対のトンファーを持った彼も右手を突き出し、太刀を抑えている
二人は特に苦労する様子も無く、太刀を弾きボスを下がらせた
「…オイ」
ややあって、漸くトンファーの男が口を開いた
変に低くもない、しかし荒っぽさの見える声だ
「アレは俺の獲物だ。だからお前は手ぇ出すな」
…………は?
トンファー男が言った事を頭の中で反芻する
俺の獲物…つまり自分一人であのボスを倒すと…?
(何を馬鹿な事を…)
しかし、あの男はやる気なのだろう
だからこうして言っているのか