第17章 第21層~第30層 その4 "Combination?"
「お前…何でここに…」
「んなもん決まってんだろ、アホか」
質問者である筈のケンタの質問に奴はロクに答えず「ともかくだ―」と続けた
「同じ感覚を持ってる奴は俺含め三人他は周り全部がボスだ。まさか三人目がいたとは、思ってなかったがな」
そう言いながら、奴はこちらを見る
相も変わらぬ獰猛さを携えている―極めて不快だ
「どういう意味?」
だが、今ばかりはどんな情報でも聞かねばなるまい
私達は、"分からない"という状態にいるのだから
「皆ボスの技に引っ掛かって、オレ達には効かなかった。尤も、オレは引っ掛かると思われてたみてぇだけどな」
奴が答える前にケンタが口を開く
至極真っ当な、私も同意出来る意見だ
これを聞いたトンファー男は何が良かったのか口を愉悦に歪ませた
「後ろ半分は当たりだ」
つまり前半は違う
何が違うと言うのだろうか
私もケンタも、目の前で体験したというに―
そんな疑問も関係無しに、奴は口を開いた
「お前等引っ掛かったって言ったがよ、それが違ぇのさ。アレが普通…俺達が『ハズレ』なんだよ」
「意味分かんない」
だからそれが"引っ掛かった"という事ではないのか
そうは思ったが奴は構わず続けた
「アレは幻覚とかそういうチャチなもんじゃねぇ。ちょっと違う世界を精神と認識に植え付けてる。だからマトモな奴にはちゃあんと効いて、おかしい奴には効かねぇのさ。例えばお前みたいな奴とかな」
「触んないで」
私に伸びてきた手を払いながら、内容を反芻する
有り体に言えば、あの攻撃が効いた皆はまともで、効かなかった私達は気が触れているという事だ
この男は何を言っているのだろうか、とすぐに感じた
この男や私には心当たりはある
しかしそこに第三の人物であるケンタが入るとは考えられなかった