第17章 第21層~第30層 その4 "Combination?"
何たる事か、エリーまでもが周りと同じ状況だったとは…
私にとってはあまりにも衝撃的であった
いや、エリーだから大丈夫なんて誰が言っていたか―誰も言っていない
そんな衝撃が私を固定してしまった
故に、私に向かう矢を避ける時間も力も無かった
無かったのだが―
「だあぁっ!!」
―突然、横からのベクトルを受けて、私の身体は倒れ込んでしまった
身体へ響く衝突の衝撃
何が私を倒したか、等という疑問を抱く暇はなかった
「来い!!」
ケンタだった
しっかりと私を見て言葉を喋っている
意外な人物の助けに一瞬驚いたが、すぐに彼と共に駆け出す
「来いって何処に行くの!?」
「分かんねぇよ!!とりあえず安全な場所だ!!」
攻撃をかわしながら、私は会話が成り立ったのを感じた
まさか―
「なぁ皆どうしちまったんだよ!?何で周り一杯にボスみたいなノリになってんだよ!?」
「あの光でしょ!!」
「それは分かってんだよ!!」
―やはりそうだ
今の彼は私と同じだ
多少状況に混乱しているが、周りとは明らかに異なっている
つまり効いていないのだ
これはある意味光明だ
単純にボスに一人で勝てるとは考えていない
二人なら、より勝率が上がる筈だ
そしてその人物に今の状況が効いていないなら、互いに的確な動きが出来る筈
「うわっ!ちょっ、タンマタンマ!!」
そう考えていると、前方からケンタの声が聞こえた
視線を向けるとケンタがユウに襲われていた
向こうはこちらをボスと見ているが、こちらはいつも通り
故に彼は反撃せず、逃げ惑っている
どうする―武器だけでも剥がすか?
そう考えた瞬間、突如何者かが私の手を引いた
その人物は同時にケンタの首根っこを掴み私共々無理矢理引っ張っていく
その人物は巧みに攻撃をかわし、あっという間に私達を戦闘が起きている外に連れ出し、柱の陰で漸く止まった
「い~やいや、久々に気が向いたと思ったら中々に面白ぇ事になったな」
私はその声を聞いた瞬間、一気に気分が冷めた、落ちた、酷く嫌な気分になった
「よう、元気してる…よなぁ?」
私とケンタをを助けた人物―それは私にとって最悪の男
あのトンファー男だった