第16章 第21層~第30層 その3 "Alien"
「ゲホッゲホッ…」
ケンタの意識は途切れなかった
しかし、埃を身体から出そうと咳が漏れる
他の面子はどうなったか―
それを気にする事が出来れば良かったのだが、それは出来なかった
彼の目の前には、洞窟崩落の原因でもある薙刀持ちの女がいたのである
「なんだ…アンタだったのかい」
狙いが外れて少し残念という口調
「テメェ、よくもやってくれたじゃねぇか」
彼女の口調にケンタも語気が荒くなる
それはどうも、という彼女の仕草にケンタはイライラを増した
「テメェはどうも怪しいと思ってた。助けに入った後は俺等の方ばっか見て、敵との相手は一番してねぇし、そんな状況でニヤけが見えるしよ」
この言に彼女は、驚いた
まさか自分が取るに足らないと考えた奴が自分を見抜きかけていたとは―
「ククク…アハハハハ!!」
その事実に至った彼女は笑うしかなかった
「いやいやまさか目星を付けた奴以外が気付くとはねぇ…良い目をしてるって具合でいいのかね?」
「知らねぇよ、んなモン。ただな…テメェみたいな絶対の自信がありますよみたいな鼻持ちならねぇ態度した奴は怪しいって、相場が決まってんだろ!!」
言ってケンタは急に駆け出した
真っ直ぐに彼女へ向かい、自身の武器である両手斧を振り上げる
「ハッ、言ってくれる!!」
彼女はそう言って薙刀を掬い上げるように振るう
振り下ろされた斧と薙刀がぶつかり低い不協和音を響かせた
「しかしまぁ、そこまで出来れば上等だね…だったら名乗ろうか。私はジュリ!これからアンタを殺す奴さ、覚えて死にな!!」
「そうは…いくかよおぉ!!」
紛う事無き、一対一
その火蓋が、ここに切られた