第16章 第21層~第30層 その3 "Alien"
幸いにもキョウヤは意識を失わなかった
土煙が未だ立ち込める中、彼は素早く立ち上がる
「皆…皆、無事か!?」
「ん、何とか」
叫ぶように出された問いにすぐに返答があった
声の主はエリー、どうやら彼女も意識を失わなかったようだ
「他の皆は?」
「ぶっちゃけ分かんない」
キョウヤの近くに立ったエリーも肩を竦める
先の崩落によって瞳に入る光はかなり減った
故に誰が何処にいるかが分からない
どうしたものか―そう考えた瞬間、近くの瓦礫が蠢いた
この状況で敵かと警戒もしたが、すぐにそれは解かれた
「クソッ、何なんだあの女…」
「とりあえず、潰されなかっただけ良しとしましょう」
聞こえた声は聞きなれたもの
シンジとユウだ
「二人共!」
「よう、無事だったか」
これで四人
脱出は出来そうだが、後の三人はどうなったか分からない
(探そう―)
そう考えたキョウヤであったが、耳をつんざく獣の声が彼等の道を阻んだ
先程現れた、三本足の敵である
「次から次へと…勘弁して欲しいですね」
「仕方ない、アイツはここで倒す!終わり次第、他の三人の捜索に移るぞ!!」
通常よりも低くなった戦力、戦い辛い状況―
それらを乗り越えなければならない
キョウヤはそう考えながら、槍を手に駆け出していた