第16章 第21層~第30層 その3 "Alien"
いつかのミミックの大群と比べて、幾分か楽に戦闘は終結した
「いやいや助かったよ」
周囲に敵がいないのを確認してから、薙刀持ちが口を開いた
「いや、無事で何よりだったよ」
部長がそう言っている中、私は視線を感じていた
何かと思って視線の正体を確かめると、先程助けた二本の短剣持ち―ユリであった
間違いないというような意志が見える視線だ
私が物珍しいのだろうか―そう感じて私は外套に付いているフードをより深く被った
「ともかくだ、これからどうするかだが…」
話を進めていたらしい薙刀持ちの口が止まった
振り向いた先は虚空
だが、何かが来るのは分かった
足音らしき低音が響き、それが飛び出した
始めに見えたのは三本の足
三脚のように身体を支えている
一応頭と口に当たる部分はあるようで、鼓膜に激しく響く声を響かせた
「どうするもこうするも、まずはコイツだな」
そう口を開いた部長に続き、私達も構えた
「いや、違うね」
そんな私達を制止したのは薙刀持ちのプレイヤー
何を考えている―そう問う前に、彼女は小さな筒を取り出した
細長い円筒、火の点いた紐が短く垂れており―
「テメェ!!」
それが何なのかに気付いたらしいケンタが駆け出したが、僅かに遅かった
「さぁ、パーティーの始まりだ!!」
そう言って、天井に投げられた筒は爆音と熱波を伴って破裂
洞窟の天井を崩落させた