第16章 第21層~第30層 その3 "Alien"
(いやいや、活きの良い獲物が集まった)
思わぬ助っ人―もとい獲物に出会えた喜びに、ジュリは笑みを隠せなかった
二人で一度に殺すには少し多い七人
しかも、最初に突っ込んできた奴は恐らく―
(ユリが殺りそこなったって奴だろうね。驚きの白さだ)
―ジュリには予想が着いていた
しかも、その白い奴は自らユリの方へ向かった
自ら地雷を踏んでいくその姿に、ジュリは増々口を歪ませる
しかしアレはユリの獲物
自分に向かってこない限りユリに殺らせるべきだろうとジュリは考え、周りの面子に目を移す
残りの六人―どれも活きは良い
だがその中で異彩を放つのが二人
一人は女―弓とチャクラムを用いて、信じられない軌道を描いている
明らかに異常だ
もう一人は男―槍を用いている
女よりも異常ではないが、実力の面では彼女にも充分通じるだろう
(この二人…いや、片方だけでも大金星になるね…)
この二人に比べれば他の面子は取るに足らない―いや、この二人が突出している
しかし、ジュリ本人がこの二人と殺し合いが出来るかどうかは実際の所運次第だ
ただ、どちらか一方だけでもこれまでにない興奮と悦楽が待っているのは間違いなかった
(ともかく今は我慢さね…狩りにはキチンとした狼煙が必要だ)
そうしてジュリはもう一度周囲の観察、そして時たま自分に向かう敵の排除をする
いずれ来るであろう愉悦に思いを馳せながら―
「………」
故に彼女は気付かなかった
彼女に対する違和感に勘づいた者がいた事を
そしてそれが、彼女が取るに足らないと断じた内の一人であった事を