第16章 第21層~第30層 その3 "Alien"
駆けながら敵を斬り裂いて道を拓く
実質私達が後ろからやって来たが故、この時点で敵は全く反応出来ていない
中央の二人―二人共女性だ
一人は薙刀を、もう一人は二本の短剣を持っている
敵の減り具合は薙刀持ちの方が大きい
ならば私は逆へ―二本の短剣持ちの方へ行く
今彼女は、対峙している敵と鍔迫り合いになっている
だがその奥からもう二体、彼女に襲いかかろうとしていた
(間に合わせる!)
それだけを考えて跳躍―二本の短剣持ちの頭上を越えて着地
それと同時に飛び掛かった敵―左右に一体ずつ
まずは右の一体の胴に剣を刺す
そのまま左足を右側から回すように蹴り込む
剣から抜けた敵は呆気なく吹き飛び、相方のように移動していた個体を巻き込んだ
短剣持ちのプレイヤーは驚き、こちらを見たが私は既に次に動いていた
彼女と鍔迫り合いになっている個体へ、身体を低くして突っ込む
そのまま彼女と敵との間から左手―拳を敵の腹へ突き出す
僅かに開いた隙間に割って入り―
「おおぉぉぉぉ!!」
―真横に一閃
敵を真っ二つにする
「あの、大丈夫ですか?」
そこで漸く私は振り向き、彼女―二本の短剣持ちのプレイヤーと顔を合わせた
短く紙を切り揃えた少女だ
「と、とりあえず、大丈夫」
ややあって彼女が静かに答える
同時にオリジナルセブンの他の面子が到着した
「おやおや、新しいお客さんかい?」
「助太刀だよ。たまたま通りすがっただけでね」
「そうかい。ま、何にせよ助かるって奴さ」
部長と薙刀持ちのプレイヤーの声を耳にしつつもう一度構える
「ユリ、生きてるか!?」
「生きてる、とりあえず」
「そうかいそうかい、上等じゃないか。じゃあコイツ等のおこぼれでも貰うとしようじゃないか」
薙刀持ちの方が私の近くにいる二本の短剣持ち―ユリと呼ばれていた―に呼び掛ける
二本の短剣持ち―ユリの方もそれでもう一度構えた
「さて皆、なるべく今の陣形を崩されないように。この二人もそうだけど、自分も危うくするなよ。それじゃあ…スタート!!」
そして私達は部長の言と共にもう一度迎撃を始めた