• テキストサイズ

SAOGs

第16章 第21層~第30層 その3 "Alien"


通り過ぎた殺気はボスの方―多くのプレイヤーが代わる代わる戦う中へ消えていった
気のせいではない
明らかにボス戦にはそぐわない殺気だった

そうこうしているとボスが大きく跳ねた
距離はある―ボスはまたそこから走り出した
アレに当たる訳にはいかない―近場で戦っていたプレイヤー達はまたモーゼの海割りの如く、ボスの直線上に空間を作った

だが、そこにまた一人―プレイヤーがいた
逃げ遅れ?それとも抑えるつもりか?―いや、そのどちらでもない
彼の体勢は明らかに崩れており、その姿勢から「誰かに不意に押された」としか見えなかった

何も出来ぬまま彼は無情にもボスに捕らえられる
そのまま力任せに床に何度も、何度も叩き付けられ、床に赤い水溜まりを作っていく
頭は潰れ、形を成さなくなった時、彼もまた砕け散ってしまった

(おかしい…絶対おかしい…)

今更ながらそう感じ始めた
いや、確信を持ってそう感じている
最初の犠牲者にしろ、今にしろ明らかに死亡へのプロセスが変だ
まるでそう誘導されたか、操られたくらいにしか思えない
そして先程の異質な殺気―それらを統合して考えた場合、出される答えは一つ


誰かが、ボスの前に押し出している――


自らの手を最低限しか汚さない手段
プレイヤーを敵の前へ誘導し、死ぬように誘導する
非情な殺人が、このボス戦の中で行われているのだ

ボスは我関せず、構わず突っ込んでくる
これは非常に恐ろしい状態だ―ボスを狙わなくてはならない上に、自分の背中に気を付けなくてはならないのだ

またも真っ直ぐ突っ込んできたボスを真上に跳躍して回避
自動的に着地はボスの真後ろ―着地直後に一気に駆け出し、剣を突き出した

無造作に放った一撃は、敵の左肩へ吸い込まれ、刺さる
身体に見合った黒い体液をばら蒔きながら、ボスは大きく呻いた
/ 739ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp