第15章 第21層~第30層 その2 "Twin"
驚きを禁じ得なかった
しかし、それ以上の事を思う前に状況は動く
幾ら拳を弾かれたとは言え、倒れる程ではない
もう一度拳を作り、クリスを含めた三人へ一撃を放とうするが―
「アンタはぁぁぁ!!」
―脇からリアナが飛び出す
手には二本の剣を持ち、真っ直ぐに拳を作った巨人を目指す
そのまま背中を蹴るように上へ昇る
巨人の頭を越えて身体を捻り対峙する形となり、巨大な一つ目に二本の剣―その両方を刺した
痛みに喘ぐ巨人
しかしリアナは構わず剣を引き抜き、地上に降下―近くのクリスを引っ張り離脱する
同時に気が付いたのかタイミングを見付けたのか、ユウがミヤを担いで離脱―四人二組はこちらへ、相方が痛みに喘ぐのに気付き火の玉が止まったこちらへ移動―私達と合流する
「アンタねぇ!チョロチョロしないでって言ったでしょ!!」
「ん~、でも危なかったし―」
「それでアンタはいっつも危ない所に足突っ込む!!」
合流した途端、リアナはクリスの胸ぐらを掴み声を荒げる
その奥に軽く視線を送ると、これまで火の玉を出していた巨人が相方を気遣うような動きをしている
共に双子―されど互いの相方に向けるものは真逆であった
「でも死んじゃうのは良くないよ」
「それでミイラ取りがミイラになるようじゃ意味無いの!!分かってる!?」
激しい剣幕
だがクリスはこれに食ってかかることはなく、ややあって答えた
「……うん、リアナは私が死んじゃうのが嫌なんだよね」
落ち着いた声
笑顔すら見せている
毒気を抜かれた訳ではないが、意外な解答だったのか口をつぐんでしまった
「大丈夫だよ。リアナと私と、あと皆でやれば何とかなるって、ね?」
何も疑問もない―そういった表情でこちらを見るクリス
いやまぁ…ぶっちゃけ何とかするしかないのだが…
何とも言えぬ口論
どちらが論破したとかそういう事ではない
だが、リアナはクリスの胸ぐらから手を離していた
「…イライラしてるのも馬鹿らしい」
そう言って溜め息を吐いたリアナは敵の方へと向く
「アンタみたいな馬鹿は言ったって聞かない。昔っからそうだった。だったら私がアンタを引っ張ってくしかないでしょ」
諦め―しかし、それこそが自らにある役目だと思い出したかのような声と共にリアナは構えた