第15章 第21層~第30層 その2 "Twin"
「ねぇねぇリアナ、一杯集まったよ!これなら何でも作れそうだね!」
「アンタ当初の目的ってのをね……あぁもういい…」
着実に歩を進める中、クリスはかなりの量の素材を手に入れていた
リアナも素材探しをしなかった訳ではないが、クリスのフォローが中心だった故、量は少ない
私達は私達で目的の敵を探しているのだが、中々見付けられない
疲労の関係もあるが故、一度街に戻るかどうかを考えながら進んでいる時であった
「見て見てリアナ、お地蔵さまだよ!」
「あぁはいはい、分かった分かった。祈るでも何でもしなって」
現在いる森のエリア
その中に生えている巨大な木の根元に小さな地蔵が二つあったのだ
天真爛漫、好奇心旺盛―故に止め役のリアナすら一苦労なのだが、クリスは何というか…それ以上に様々なものに"気付いている"
エリアのちょっとした特徴だとか、今のように普通なら気付かず終わってしまいそうなものに気付いている
尤も、クリス本人がそれを意識しているかどうかはまた別の話であるが…
ともかくそういう訳で、割りと好きにさせていた
今のようにちょっとした気付きが、意外な事になったりするからだ
とりあえず目の届く範囲なら良い―そういう感覚でクリスが地蔵に近付いた時、突如地が揺れた
それだけで終わらなかった
クリスの近付いた地蔵―それが接している地面から、巨大な腕が現れたのである
「クリスッ!!」
明らかな距離、しかし咄嗟にリアナはクリスへ手を伸ばしていた
彼女の手が届く筈も無かった距離にいたクリスはエリーが射出したチャクラムが腕に巻き付き、私達のすぐ近くへと引き寄せる
地から生えた腕
それは徐々に地上に現れ、その全てを現した
一つ目の巨人が、私達の前に立ちはだかった