第15章 第21層~第30層 その2 "Twin"
「さっき言ってた、後悔しないとかって結局どういう事かなって…」
ちょっとした疑問
上手く言えた訳ではないが、リアナは「あぁアレ」とボヤいた辺り、何の事か納得したらしい
「まぁ、あの子やる気は人一倍なんだけど……少なくとも今まではそれが全く結果にならなくって。お陰で所謂商売上がったりってやつ」
「はぁ…」
「一応、何をするにも先立つ物ってあるでしょ?だから私が他のやり方で稼ごうとはしたんだけど…思いの外鍛冶目当ての人しか来なくって」
なるほど
それで結果として客足が遠退き、まさに閑古鳥が鳴いているという状態になった訳か
力量がものを言う世界であるが故、というやつだろう
戦いをメインにしてる人からすれば、命がかかっている物なのだ―あまりに失敗すれば自然と客足は遠退くというもの
などと納得していると―
「ほにゃああぁぁぁぁぁぁぁ!!」
―凄まじい声が奥から店を揺らした
何が起きた、と思わざるを得ない
しかしリアナには理解出来ているようで―
「……ごめん」
―と言いながら頭を抱えていた
直後、奥の部屋から涙目になったクリスが顔だけ出していた
あぁ…つまりは何だ、やってしまったと―目の前の状況だけで察せてしまった
「本っっっっ当に、ごめんなさい!!」
平身低頭―謝るクリスはまさにこの通りであった
今私の目の前に新たな武器はない
それどころか、元の素材の面影を全く残さない謎の塊に変換されていた
何がどうしてこうなった―そう突っ込みたい気持ちは十分にあったのだが、現在のクリスの様子から激しく糾弾する気は起きず、「いや、そんなに謝らなくても…」としか言えなかった
「リリィ、どうする?」
「って言われても…ねぇ?」
エリーの言うように、ここからどうするかと言われても迷うばかりでしかなかった
どうすると言われても、どうする?
予備の武器はない、あった筈の最高の素材は謎の塊と化した、このままでは何にもならないだろう
ならば仕方ない
「じゃあ私達、後で別の素材を持ってきます」
これくらいしか方法がなかろう
何にせよ、戦えばある程度素材は手に入る
それでまた作って貰えばいい
そう考え、カウンター席から立った私達を―
「あ、良いこと思い付いた!」
―クリスの声が呼び止めた