第15章 第21層~第30層 その2 "Twin"
「うわ、すっごいねリアナ。キラキラしてるよ」
「いや、感想はいいから仕事しなって」
「あ、そうでした」
感想によって流れが脱線しそうなクリスを上手い具合に修正するリアナ
合致した真逆さとはこういう事かと実感せざるを得ない
「えっと、これ一個だと普通の剣しか作れないけど大丈夫?」
それは問題ない―故に頷いて肯定する
この世界は最初から複数種類の武器が存在している
故に鍛冶の組み合わせ―武器作成レシピのようになっていて、良い武器には所謂珍しい品を用いればより良い武器になるという訳だ
その中で私の使う片手剣というジャンルは、あらゆる面で最も基本的と言えるのか、鍛冶の世界でも必要な材料が最も少ない
最悪、今のようにたった一つの材料で作れる程だ
つまり問題は、素材のレアリティと請け負った人の力量という事になる
「はーい。それじゃあちょっと待っててね」
そう言ってクリスは素材を持って奥へ入っていった
これから作業が終わるまで私とエリーは暇な訳だが、どうしようか…
「……まぁ、座れば?」
所在なさげ、というより本当に所在をなくしていた私達にリアナは静かに口を開く
軽く顎で示されたカウンターの椅子へ座る
周りより僅かに高めなのか私はギリギリ足が浮き、エリーに至っては完全に足が地に着かない状態だ
リアナは特に何を言うこともなく、私とエリーの前に水―お冷やを出した
ただ待つのも暇だし、飲んで構わないという事だろうか
「あの…」
折角だし、何か話した方が良いんじゃないか―そう考えていたかどうかは定かではないが、とにかく私は口を開いていた