第15章 第21層~第30層 その2 "Twin"
第十二層―
例の「Duologue」という店は中心となる街、ニューデイズの中にあるらしいのだが中々見つからなかった
中心街から外れて数分―街としては端に当たる位置に目的の店はあった
こじんまりという言葉が似合う建物だ
良く言えば慎ましく生きているという雰囲気―悪く言えば貧乏さが溢れる店である
ネリーは何を以てここを行きやすいと判断したのか疑問に感じるが…入ってみなければ分かるまい
「…入る?」
「ん、入る」
短い問答―だが、エリーといるなら仮に問題が起きたとしても何とか出来るだろう
そう考えながらゆっくりと戸を開く
木で出来た扉は思いの外軽い
扉に合わせて鳴る鈴の音が私達の入店を伝えていた
中を軽く見回すと、外よりかは綺麗になっている―ある意味当然であろうが
所謂陳列棚だけでなく、カウンターや飲食が可能そうな机や椅子がある
まるでちょっとした喫茶店のようだ
「いらっしゃい」
声が聞こえた辺りで漸くカウンターに店員―というべきか、ともかくこの店を経営しているであろうプレイヤーに気付く
カウンター奥で頬杖をしながら気だるげに対応する一人の女性―いや、見た目は私達と同じくらいに見える
設定を変えたのかオレンジに染まった彼女の肩から背中にかけて流れている
「で、何の用?」
「あ、あの…ここで武器を作ってくれるって聞いたんですけど…」
おずおずと答えた私の言に店員は驚きの表情で答えた
「…本気で言ってんの?」
「は、はい…そうです、けど…」
本気で言っているのか、と言われても困惑する他ない
こっちはそういう話で来ているのだ