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SAOGs

第14章 第21層~第30層 その1 "Trap"


時は少し前になる―

キョウヤは敵の拳によって階下へ落ちたリリィを追って自らも階下へ降りた
尤も、その際に右足の膝から下を失った為、彼もまた落ちるように階下に来ることになったのだが

「がはっ…ごほっ…」

落ちた衝撃が肺から強制的に空気を吐き出させる
だがそれに喘いでいる暇は彼には無かった
素早く周りを確認する

周りはまだ瓦礫にまみれており、土煙に満ちている
少なくとも自分の周りにあの人型ミミックは見えない

(だったら早く…探さないと…)

右足の膝から下は未だ復活の兆しを見せない
故に這ってリリィを探す
生きていてくれ―そう願いながら彼女の痕跡を探す
自分が絶対に見つかってはならず、彼女もまた絶対に見つかってはならない
こちらは実質片足を失ったに等しく、その痛みは尋常ではない
そして彼女に至っては意識がどうなっているかが分からない
意識があるならともかく、失っていたら最悪だ
敵に見付かれば成す術はない
故にキョウヤは痛みと焦りに耐えなければならなかった

無様と言える匍匐前進で土煙を抜けると、その景色は先程と異なるものだった
上の聖堂は何だったのかと問いたい程に暗く、松明で灯りが保たれている
床も荒い石畳で、明らかに病原菌が蔓延していそうな滑りも一部に感じられる
瓦礫によって砕かれたであろう机と思われる残骸が四方に散っており、それがまた別の机を破壊している

その陰―壁にそった位置に僅かに見えた
暗闇でも見える白い手
キョウヤは悲鳴をあげる身体に鞭打って、確かめにいく
瓦礫の陰―そこには確かにリリィがいた
彼女のコンプレックスでもあるアルビノという身体的特徴が彼女を見付ける手掛かりになったのは、彼女にとっては皮肉だろうがキョウヤにとっては感謝したい気持ちであった
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