第3章 第1層~第10層 その2 "Game Start"
ゆったりと立ち上がったそれは、次の瞬間には跳ねて私達団体にハッキリ見える位置に着地していた
イルファング・ザ・コボルドキング
ボスに相応しい、HPバーが三本
赤い肌、獰猛に光る目と鋭い牙。しかし獣人としての知性か片手斧と楯を持ち、王としての冠を戴いている
そして腹が異常な程膨れている
人間で言うなら確実にピザと呼ばれるレベルだ
「行くぞオメェらぁぁ!!!」
カミナの声と共に一番隊が進撃
本当に戦いが始まった
三番隊に配置された私達にも、前の部隊の必死さと敵の攻撃による風を感じる
今まで、と言っても一層だが―戦ってきた私達だからこそよく分かる
「二番隊、行けぇ!!」
暫く戦った所で、部隊が切り替わる
部隊レベルでのスイッチである
行け、と言ったカミナ本人もこの部隊に属している
彼の動きも悪くない…いや、むしろ私達より良いかもしれない
型を知りながら崩した感じ…出来る人にしか出来ない技だ
そんなカミナを中心に二番隊がボスのHPを少しずつ削っている
「皆、多分そろそろだ」
後ろから部長の声
「手筈通りやろう」
緊張を孕んだ声に各々、頷いて応えた