第14章 第21層~第30層 その1 "Trap"
出された答えに私はずっこけるしかなかった
どっちでも良い―慣れるからあまり関係ない
なら何故聞いたと疑問が沸いてくる
いや、だからこそなのだろう
エリーの才はこの世界で発揮される
その結果、所謂普通のプレイヤーよりも高い能力を見せる
特に慣れという点と身体活用の点に至っては群を抜いている
故に関係ないのだ
ここで仮にどちらか一つを選ぼうと、両方を取っ替え引っ替え使ったとしても、すぐにそれが当たり前となる
自らの出せるパフォーマンスは変わらない
ならば、誰かに選んで貰おうという訳だ
才ある故に、自らで選ぶという行為が阻害されている
どう思うと聞かれて能力を口にする事から、基本的な価値基準が何処に置かれているかもハッキリしてくる
これらの事を通じて考えると、単純にどちらかで迷った―ではなく、今の価値基準ではどちらも変わらないように見えるから、他者に選んで貰って価値を付けるという事
有り体に言えば、今目の前にいる私に選んで欲しいのだ
「じゃあ、私が選んであげる」
ならばその望みに答えよう
他ならぬ友の頼みを無視は出来ない
さて、そうなると私は一般人より圧倒的に足りない服飾感覚をフル活用しなくてはならない
改めて私はエリーの持つ二つの品を見比べる
どちらもそれ程複雑な構造をしている訳ではない
片方―緑の方は上着が二枚
一つを上から羽織るタイプで結果長袖のようになる―アクセントであるように、ネクタイが垂れている
これに対して下はタイトスカートに近いように見える
これは私からすればマイナスだ
足が出るなど危険極まりない―というのがアルビノたる私の意見だ
次にもう片方―赤の方は簡単であった
人形に着せるドレスとはまさにこの事と言える一品
見た目生地もしっかりしている
フリルが多い気がするが、それを持って有り余るメリットがある―それは袖と裾である
長袖、ロングスカートと身体を覆える物が揃っている
これはポイントが高い―私の感覚からすればある程度理想的だ
ここで蛇足的に付け加えるならば、私がアルビノであるから逆に普通の服飾に憧れか何か抱いているというものは大きな間違いだ
私はあくまでも私に必要な感覚で選ぶのみだ
そして、それらの情報を纏めると選ばれるものは一つ
私はそれを指差した