第14章 第21層~第30層 その1 "Trap"
先に述べた理由から、私はエリーと予期せぬ暇潰しをする事となった
勿論、私もエリーも危険な真似をするつもりはない
故に街の中を散策、という事になった
残念ながら今の所、私には特にこれといった目的はない
現状、アイテムは十分ストックがあるし、すぐに武器防具を買いに足を運ぶ訳でもない
必要に応じて強化を選択したり、現状のまま戦いに赴く時もある
今はただ、ひょこひょこ進むエリーに手を引かれながら、何処へ向かうのだろうかと考えるのみである
「何処行きたい?」
「え?まぁ、特にってのは無いけど…」
「ん、分かった」
不意に投げられた疑問にも、このように答える他ない
エリーに手を引かれながら、ただ着いていくのみ
街はある程度賑わいを見せていると言っていい
とは言え、人込みと言えるものは余りない
よって私達は迷う事無く、はぐれる事無く動いていった
エリーに連れられ数分
私は頭を悩ませていた
エリーと共に入った先は防具を売っている店
能力の付与、耐性の付与等の組み合わせが一つ一つ異なった品々
そういったものは防具を選ぶ上で重要な要素だ
もう一つ、選ぶ上ではある意味重要なファクターが存在している
それは――デザイン、見た目である
この世界は私達が本来住まう世界ではない
故に所謂ゲーム的な、普通の服屋にはないものが大半を占めている
それが大概同じで、能力だけ違うなら別に文句はない―仕方ないで済む
だが、デザインに大きな差異があるとなると仕方ないでは済まない
実際に着用すれば分かるが、これらはどう見てもコスプレか何かの類いにしかならない
何と言うか…服に対して私達の身体のパーツが地味なのか、服が派手すぎるのか―ともかく私の目からしてみれば、違和感の方が大きい
故に、今エリーが私の前で広げている二組の服―そのどちらが良いかとか聞かれても答えようがなかったのだ