第14章 第21層~第30層 その1 "Trap"
ユウがミヤを回避させた事により、残るは私となった
だが私はまさに"落ちそう"という状況である
離せば落下、掴めば直撃―この状況で取る手段
(それは―)
意を決して左手を地面から離す
重力に従った私の身体は、先の位置から加速しつつ落下を始める
同時にボスの放った光が先程まで私のいた地面を砕いた
地面―瓦礫の破片が顔の正面から降り注ぐ
目に入ろうとするものが煩わしかったが、感覚を研ぎ澄ませた
まず狙うは身体に近い位置にある瓦礫
そこそこの大きさである事を、流れる空気で感じる
それをブーストをかけた右手で殴る
いつぞやの床が氷となったボス戦の応用
無理矢理叩いて跳ねるというもの
体勢は逆になるが、これを何度が続ければ―
「―――!」
直後、背中に衝撃
強制的に酸素が排出され、それまで身体にあった勢いが一瞬で失われる
なるほど、別の瓦礫か
だが、それを感知していなかった不覚を嘆く暇はない
今の一瞬の間に随分と落ちてしまった
これ以上落ちない為に、瓦礫を左足で蹴る
跳ねた先、次の瓦礫は―と感知しようとした私の視界に入ったのは、意外にも地面だった
下に地面があった―飛び込みながら自覚する
間違いなく地面、フェイクでも何でもない
まさかこんな場所があったとは―
ならば戻る術がある筈だ
急いで思考を戦線復帰へ切り替える
視線を上に持っていくと、小さな瓦礫が時たま降ってくるのが見える
どうやらまだ上で戦闘は続いているようだ
では私はどうやって戻ろうか―などと考えている私は、変なモノを発見した