第14章 第21層~第30層 その1 "Trap"
弾けた
何処が―頭だ
直後に砕け散ってしまったが、確かに頭が弾け飛んだのを見た
頭をやられれば一発で死ぬ―当然の理だ
誰かが呆気無く死ぬ
そんな状況に慣れた訳ではない
だが、死んだという事実よりも何があったのかを見極める必要を感じていた
先程の記憶を呼び起こす
力を込めた後、何かが飛んでいったように見えた
小さく、細く、ハッキリと視認出来ていたかどうかは分からない
だが何かが通っていた
つまりそれだ
元から小さいのか、圧縮されたのかどうかは定かではないが、とにかくボスの腕から一撃必殺レベルでの物が発射される
「エリー」
「ん、大丈夫」
まだ私の足は治らない
故に、私を抱えるエリーへ提言する―正面は危険だと
だがそこはやはりエリー―その事を既に理解している
身体を縮め、もう一度一撃の技を放とうとするボス
向こうも私達が正面から動くという事を理解しているのか、縮めたままの身体の向きを少しずつ変えている
ボスに対して横に走り続ければまず当たらない
私達に対して垂直方向に来るものであるなら、ある種当然の理だ
更に付け加えるなら、ここで跳躍して、ボスに対して真横に出てしまえば簡単だ
だがそれは、すぐに崩された
突如エリーが私を上空へ投げ出したのである
「ちょっ…!」
何かと口を開こうとした瞬間、ボスの真横の向きにいる筈の私とエリー
空中にいる私と地上を走るエリーとの間の空間に、閃光が走り抜けたのである