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SAOGs

第14章 第21層~第30層 その1 "Trap"


赤くなった体表が厄介度を表しているようだ
私の足は相変わらず凍ったままで、まさに足手まといとなっている現状に歯噛みする他無かった

ここに来てボスは一気に動き出した
数名で固まっていたプレイヤー達に真っ直ぐ突っ込み、その一団に向かって殴りかかったのである
彼等は各々攻撃を回避し、大きな被害ではないようであった
だが私が着目したのはボスの腕が帯電しているように見えた事

少なくともこのボスにおいて、腕に攻撃のヒントがあるのは明白
その腕が帯電している―つまり、電撃攻撃
予想通り直後に、二本の腕を上へ向けて先から電撃を放ち始めた
腕が二本あるせいか、電撃の範囲はかなり広い
私を抱えるエリーは実質1.3人分位の移動で漸く安全が保てる
つまり、そんなスペースもない場所に誘い込まれると、成す術が無いのだ

特にこの電撃は、ある種レーザーのように進みながら若干前後にブレている
そのブレが危険なのであり―今まさに私達に向かっている代物だ
いや、それまでは確実に回避した
回避したが…回避した先こそが本当の危険地帯だったというだけだ

一方向から来るだけなら何とかなる
それはエリーの普段の実力を見れば考えなくとも分かる
だがそれが前後に最低三方向―私の視界の外にあるものも含めればもっとあるだろう
跳躍続きから着地の瞬間―そこを狙われた

エリーの焦燥が見てとれる
私達が共倒れになることも、どちらかが犠牲になるのも駄目だ
ならばこの状況を切り抜けるには―

選択を迫られたその時、私達の前に人が飛び出した
両手斧を高々と掲げ、突っ込んで来た―ケンタ

「何して!?」

思わず口走ったのを彼が聞いたのか否か定かではない
ともかく突っ込んで来た彼は、真上に跳躍―限界まで両手斧を高く掲げて―

「避雷、針じゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」

―電撃を一身に受けた

通常こういう場合、すぐ近くにある物へ電気が伝わっていく
つまり、避雷針を持ったまま避雷針をやれば、避雷針を通って自分に電気が伝わってくるという事

「ん、お馬鹿」

まさにエリーのボヤき通りという訳なのであった
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